2015/01/18

 電話ボックスの中でタバコを吸っているオッサンを見て、色々考えた。アイツは一体なにやってんだろうって。確かに今日は冷えるけど、その選択は色々間違ってるんじゃないかって。

 煙で白くなったボックス内はどこか幻想的な雰囲気が立ち込めており、煙の中に佇むオッサンは無精髭を生やしていてどこか疲れきった顔を浮かべていた。靴を見ると紐がもつれていて、裾も破れている。恐らく彼はホームレスで暖を取りながらも喫煙出来る場所を探した結果、電話ボックスという答えにたどり着いたのだろう。オッサンは煙の中へ、静かに消えていく。流石に煙くなってきたのかオッサンがしゃがみ込んだところで、僕は再び歩き始めた。あんなオッサンに構っている暇は無い。僕はゲオにDVDを返しにいかなければいけなかったのだ。



 数十分後、電話ボックスは真っ白になっていた。これもしかして新手の自殺なんじゃねぇかと思い始めたところでオッサンが電話ボックスの中から出てきた。さながらコールドスリープから目覚めたように煙が体を撫でて、空気中に消えていく。モクモクと電話ボックスの中から煙が立ち込めており、他の人から見れば完全に火事としか思えない状況だった。しかしオッサンは猫背で歩こうとするもゴホゴホと咳込み、またしゃがみ込んでしまう。弱々しい顔を電話ボックスに向けるや否や、また電話ボックスに入り体育座りをしたまま膝の中に顔を埋めてしまった。その光景を見て、なんというか、「がんばろう」って気持ちになった。