2015/02/13

 テキストに「曰くつき物件の夜」を更新しました。また怖い話です。よろしければ読んで下さい。

2015/02/12

 バス停の行列。バスが来た。空気が抜けるような音を立ててドアが開き、僕は入って右側の奥の席に座ろうと目をやる。すると一番奥の席にはハゲが三人並んで座っていた。

 信じられない光景だった。頭皮の問題を抱えた中年層は少なくないにしろ、バスの最後部座席にハゲがスリーペアで並ぶ確率はあまりにも低いのではないか、と感動すら覚える。もしかしたら彼らはハゲの妖精なのではないかとさえ思った。眠れる森の美女に出てきた色別に分かれた魔女のような役割を担う、三人でバディを組んでいる妖精なのかもしれない。だからあそこにハゲが密集しているのかもしれないと。

 「ありがたや」そう心の中で呟いて、僕は最後部から一つ前の座席に座る。窓際に腰掛け、カバンを膝の上に載せた。そこで奇跡は連鎖した。なんともう一人ハゲがバスに乗ってきたのである。しかも、最後部の座席に座った。これでフォーカード。僕の背後でハゲ・カルテットが奏でられているという計算になる。これは凄いことである。仮に日本人の2割(少子高齢化の影響)がハゲだと計算して、日本には現在3千6百万人程度のハゲがいることになる。各都道府県でハゲを均等に割った場合、一つの県に約77万人のハゲがいることになるが、その中でバスを利用するハゲはどれぐらいいるだろう? ホームレスや職場が自宅付近にあるハゲ、電車や自家用車を利用するハゲもいることを考慮して、大体1割程度と考えるのが妥当だろう。つまり、一つのバスの最後部座席にハゲが密集するということは凄まじく低い確率と言える。

 僕はこの場を以って、奇跡の証人となったのだ。ハゲは見事に揃った。それも四重奏。僕の後ろでバスの揺れに身を任せ、ゆらゆらと揺れるハゲ。さながら稲穂の波に揺れる春風のよう。バスはハゲの旋律を奏でながら、夜の町へと消えていくのだ。俺は真剣な顔で何書いてんだ。

【拍手返信】

怖い話なんか新鮮な感じがあって面白いな。長文も苦にならない
こういう文章のほうが書き慣れてるので嬉しいっす。ウッス。
 テキストに「ちがう」を追加しました。病院の怖い話です。
 以上、業務連絡っす。ウッス。

2015/02/08

 「中途半端な箱」と「ラブライバーが『矢澤にこ』を実際に作ろうとした話」の二つをテキストにアップしました。上のメニューからどうぞ。
 ただこういう話を書いたりすると必ず読んだ人から「最近変なことが起こるんですけど」などといった相談を送られてきたりするのですが、自己責任でお願いします。ウッス。

2015/02/07

 はい、昨日の日記は服装第一主義の山下ラジ男くんに書いてもらいました。
 「お互い一日だけサイトを交換して代打で日記書こうぜ!」といった試みです。

 他人のサイトだから好き勝手やるといった趣旨を説明し、いざ取り掛かってみたところ彼はウチのサイトで、いわば人糞を人の家の壁に塗りたくるような文章を書きやがりましたので、確実に今年中に仕留める所存でございます。

 ちなみに僕も彼のサイトで文章を好き勝手書きましたので、ぜひ御覧ください。あの文章で彼の好感度が奈落の底に落ちれば僕の美味しくご飯が食べられるというものです。それでは。

2015/02/06

ど~も~アンチヒーローの白石ぎゃろで~す

突然なんですけど、昨日めっっっっちゃオモローな動画発見しちゃったんでみんなに紹介しちゃいま~す。






ヤバくないですかwwwwwww
スパイダーwwwフラッシュwwwwwwローリンwwwwwwwwwサンダーwwwwwwwwwwって
お腹痛いwww










はい今日の日記書きまーす。

今日はなんか急にキティちゃんに会いたくなっちゃったので近所のおもちゃ屋さんに行くことにしました。
おもちゃ屋さんなんて入るのすごく久しぶりだからとっても緊張したんだけど、
そんな私の気持ちを知ってか知らずか店員さんは気持ちよく私を迎えてくれました。「いらっしゃいませー」って、えへへ。

お店の中にはキティちゃんのぬいぐるみもたくさんあってフワフワでキラキラでテンション爆アゲ――――↑↑
でもでも違う違う、私が見たいのはぬいぐるみじゃない!本物のキティちゃん!!

それから3時間位お店の中を回ってみたりして粘ってみたんだけど全然ダメ・・・
忙しいのかな平日昼間だし・・・でもおかしいよ、絶対キティちゃんいるハズなのに・・・



って、あぁぁぁーーーーー!!


ここ!



キティランドじゃなくて




キディランドだったーーー!?!? 








もーーーっ!

本当の私、デビュー!! 

2015/02/05

 やっとの思いで帰路についた僕を待ち構えていたのは凄まじい大寒威。氷点下13度という、完全に地球が殺しにかかってきてるとしか思えないような寒さの中で、僕は暖かい缶コーヒーを飲んで帰ることにした。自販機を見つけ、歩み寄る。
 




 ん?






なんか刺さっとる。





 大阪城のキーホルダーが光るその鍵はまさしく自販機を開くためのもの。自販機の鍵は解錠された状態で刺さっていて、自販機の整備中に拉致されたんじゃねぇかと思うぐらい不自然な残り方をしている。
 日本は平和な国ですが、これはあまりにも不用心。僕はしっかりと自販機を施錠して、鍵を管理者に渡すことにした。

 どうやらこの辺に住んでいるお爺さんがこの自販機を管理している模様。しかし、時刻は夜の11時前。紛れも無い深夜のためインターホンで寝ているところを叩き起こすのも気が引ける。郵便受けに入れておけば明日の朝に見てくれるかも、と思ったけど郵便受けが無い。どこにも無い。なぜだ。赤紙対策か。さすが戦時中を生きたジジイは危機管理能力が違うぜ!! だったら自販機の鍵なんか忘れんな!! 馬鹿ッ!!

 僕は迷う。危険性を重視してジジイを叩き起こすべきか。それとも家の前に置いといてジジイがそれを見つけるという賭けに出るか。もしくは、自販機にもう一度刺して放置し何も見なかったことにするか。どの選択肢もリスクが伴い、安易に選択することが出来ない。ジジイを叩き起こせば後腐れ悪い結果になりかねないし、他の選択肢を選んでもし鍵が第三者に盗まれてしまうと僕の中の善良な魂が腐り落ちてしまう。

 氷点下13度の中で僕はジジイの家の前をウロウロと歩き周り、思考を働かせる。自販機の鍵を握りしめながら、今にも泣きそうな顔で玄関と自販機を交互に見渡していた。その直後だった。


 「……君、何してるの?」
 「不審な人物がウロウロしているって通報があったんだけど」


 警察が来た。


 嘘やん。善良な魂を腐れ落ちないように一意専心し、正しい方向はどっちだと足踏みをしている一般市民が不審者扱いされた。

 「いやこっ、こここここの家のひひひとひひに……」

 寒さのあまり凍えていて口が上手く回らない。警察が僕の腕を強くつかみ、「何か持ってるね」と鍵を取り上げて、訝しげな顔で鍵を見つめ、

 「これ君の?」

 僕はかぶりを振る。「いえっ、あのそそそそれはちちちが」上手く喋れない。ここで俺は気づいた。これは最悪のケースだ。つまりは僕を不審に思って通報した人物がいて、警察が来たわけだ。なぜ不審に思ったか。深夜に家の前をウロウロしている人間がいれば、泥棒と思っても不思議ではない。では僕の手中にあったものはなにか? そう、他人のもの(鍵)だ。しかも金銭に直結するであろうもの。今来た警察から見れば僕は完全にジジイの家から自販機の鍵をパクった泥棒にしか見えないのである。

 警察は「とりあえず、パトカー入って」と僕を近くに停めていたパトカーに誘導。ダメだ。これ完全に疑われてるわ。濡れ衣だ。僕は無実だと心の中で思うも口が上手く回らず、警官の質問にも上手く答えることが出来ない。運転席に警察官一人、そして後部座席には僕と警察官が一人座るという、完全に逃走を警戒しているような状況。身分証明書を見せろと言われ、かじかんだ手で手渡す。

 「君はあそこで何をしてたの?」
 「あすすすすこでななぬなも、違ッ」
 「この鍵は君のじゃないよね?」
 「はははい」

 鍵は僕のじゃねぇってことだけが伝わる最悪の状況。警官二人は何やら小声で「ひどく動揺している」「いったんあの家の人(ジジイ)に連絡だな」と相談していた。動揺しとらんわ。氷点下の中で会社から歩いて帰ってんだから寒すぎて口が回らないんじゃ、と思った矢先、やっと普通に喋れるようになってきた。警官が僕に問う。

 「君はこれを盗っちゃったってことかな?」
 「エ゛ェンッ!! ンン゛ッ!! 違います!!」
 「あ、やっと普通に喋ってくれた」
 「自販機に刺しっぱなしで危なかったから渡そうとしただけです!」

 喋れるって本当に素晴らしい。だけど警官は警戒体勢を解くことは無く、運転席に座っていた警察官がパトカーを出てジジイの家に行き、インターホンを鳴らす。するとすぐに家の電気がつき、ジジイが玄関のドアから出てきた。起きてたのかよ。こんなことならさっさとインターホン鳴らせばよかったわ。

 警察官とジジイがパトカーに寄ってきて、ドアを開けられる。そして僕の隣に座っていた警察官が「おとうさん,この鍵見覚えあるよね?」と鍵を見せる。するとジジイは「あっ! 俺のだ!! 良かった無くしてたんだよ!!」と間の抜けた声をあげ、警察官がすかさず「この子が持っていたんですよ」と補足する。いやその説明はどう考えても誤解を招くだろうと僕はすかさず「自販機に刺しっぱなしになってたんです」と付け足す。
 するとジジイは「え? あっ!! そういや俺自販機に刺しっぱなしだったわ!! アヒャヒャヒャ」と笑い始め、やっとのこと誤解はとけてパトカーから出ることが出来た。

 ジジイに何故かものすごく感謝され、「なんか好きなジュース一本やるわ!!」と言ってくれたので思わず僕は「じゃあ、このコーヒーで。そういや僕今日、誕生日なんですよ」と要らないことまで言ってしまった。

 「誕生日!? じゃあこの缶コーヒーは俺からの誕生日プレゼントだな!! アヒャヒャヒャ……」

 そういえば何故ポストが無かったのか、ということをジジイに聞いてみると、「盗まれた」とのことだった。「ポストって盗まれるんだ……」と僕は、暖かい缶コーヒーを静かに飲み干す。氷点下の夜の、不思議な誕生日だった。