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2015/02/12

 バス停の行列。バスが来た。空気が抜けるような音を立ててドアが開き、僕は入って右側の奥の席に座ろうと目をやる。すると一番奥の席にはハゲが三人並んで座っていた。

 信じられない光景だった。頭皮の問題を抱えた中年層は少なくないにしろ、バスの最後部座席にハゲがスリーペアで並ぶ確率はあまりにも低いのではないか、と感動すら覚える。もしかしたら彼らはハゲの妖精なのではないかとさえ思った。眠れる森の美女に出てきた色別に分かれた魔女のような役割を担う、三人でバディを組んでいる妖精なのかもしれない。だからあそこにハゲが密集しているのかもしれないと。

 「ありがたや」そう心の中で呟いて、僕は最後部から一つ前の座席に座る。窓際に腰掛け、カバンを膝の上に載せた。そこで奇跡は連鎖した。なんともう一人ハゲがバスに乗ってきたのである。しかも、最後部の座席に座った。これでフォーカード。僕の背後でハゲ・カルテットが奏でられているという計算になる。これは凄いことである。仮に日本人の2割(少子高齢化の影響)がハゲだと計算して、日本には現在3千6百万人程度のハゲがいることになる。各都道府県でハゲを均等に割った場合、一つの県に約77万人のハゲがいることになるが、その中でバスを利用するハゲはどれぐらいいるだろう? ホームレスや職場が自宅付近にあるハゲ、電車や自家用車を利用するハゲもいることを考慮して、大体1割程度と考えるのが妥当だろう。つまり、一つのバスの最後部座席にハゲが密集するということは凄まじく低い確率と言える。

 僕はこの場を以って、奇跡の証人となったのだ。ハゲは見事に揃った。それも四重奏。僕の後ろでバスの揺れに身を任せ、ゆらゆらと揺れるハゲ。さながら稲穂の波に揺れる春風のよう。バスはハゲの旋律を奏でながら、夜の町へと消えていくのだ。俺は真剣な顔で何書いてんだ。

【拍手返信】

怖い話なんか新鮮な感じがあって面白いな。長文も苦にならない
こういう文章のほうが書き慣れてるので嬉しいっす。ウッス。

2015/02/05

 やっとの思いで帰路についた僕を待ち構えていたのは凄まじい大寒威。氷点下13度という、完全に地球が殺しにかかってきてるとしか思えないような寒さの中で、僕は暖かい缶コーヒーを飲んで帰ることにした。自販機を見つけ、歩み寄る。
 




 ん?






なんか刺さっとる。





 大阪城のキーホルダーが光るその鍵はまさしく自販機を開くためのもの。自販機の鍵は解錠された状態で刺さっていて、自販機の整備中に拉致されたんじゃねぇかと思うぐらい不自然な残り方をしている。
 日本は平和な国ですが、これはあまりにも不用心。僕はしっかりと自販機を施錠して、鍵を管理者に渡すことにした。

 どうやらこの辺に住んでいるお爺さんがこの自販機を管理している模様。しかし、時刻は夜の11時前。紛れも無い深夜のためインターホンで寝ているところを叩き起こすのも気が引ける。郵便受けに入れておけば明日の朝に見てくれるかも、と思ったけど郵便受けが無い。どこにも無い。なぜだ。赤紙対策か。さすが戦時中を生きたジジイは危機管理能力が違うぜ!! だったら自販機の鍵なんか忘れんな!! 馬鹿ッ!!

 僕は迷う。危険性を重視してジジイを叩き起こすべきか。それとも家の前に置いといてジジイがそれを見つけるという賭けに出るか。もしくは、自販機にもう一度刺して放置し何も見なかったことにするか。どの選択肢もリスクが伴い、安易に選択することが出来ない。ジジイを叩き起こせば後腐れ悪い結果になりかねないし、他の選択肢を選んでもし鍵が第三者に盗まれてしまうと僕の中の善良な魂が腐り落ちてしまう。

 氷点下13度の中で僕はジジイの家の前をウロウロと歩き周り、思考を働かせる。自販機の鍵を握りしめながら、今にも泣きそうな顔で玄関と自販機を交互に見渡していた。その直後だった。


 「……君、何してるの?」
 「不審な人物がウロウロしているって通報があったんだけど」


 警察が来た。


 嘘やん。善良な魂を腐れ落ちないように一意専心し、正しい方向はどっちだと足踏みをしている一般市民が不審者扱いされた。

 「いやこっ、こここここの家のひひひとひひに……」

 寒さのあまり凍えていて口が上手く回らない。警察が僕の腕を強くつかみ、「何か持ってるね」と鍵を取り上げて、訝しげな顔で鍵を見つめ、

 「これ君の?」

 僕はかぶりを振る。「いえっ、あのそそそそれはちちちが」上手く喋れない。ここで俺は気づいた。これは最悪のケースだ。つまりは僕を不審に思って通報した人物がいて、警察が来たわけだ。なぜ不審に思ったか。深夜に家の前をウロウロしている人間がいれば、泥棒と思っても不思議ではない。では僕の手中にあったものはなにか? そう、他人のもの(鍵)だ。しかも金銭に直結するであろうもの。今来た警察から見れば僕は完全にジジイの家から自販機の鍵をパクった泥棒にしか見えないのである。

 警察は「とりあえず、パトカー入って」と僕を近くに停めていたパトカーに誘導。ダメだ。これ完全に疑われてるわ。濡れ衣だ。僕は無実だと心の中で思うも口が上手く回らず、警官の質問にも上手く答えることが出来ない。運転席に警察官一人、そして後部座席には僕と警察官が一人座るという、完全に逃走を警戒しているような状況。身分証明書を見せろと言われ、かじかんだ手で手渡す。

 「君はあそこで何をしてたの?」
 「あすすすすこでななぬなも、違ッ」
 「この鍵は君のじゃないよね?」
 「はははい」

 鍵は僕のじゃねぇってことだけが伝わる最悪の状況。警官二人は何やら小声で「ひどく動揺している」「いったんあの家の人(ジジイ)に連絡だな」と相談していた。動揺しとらんわ。氷点下の中で会社から歩いて帰ってんだから寒すぎて口が回らないんじゃ、と思った矢先、やっと普通に喋れるようになってきた。警官が僕に問う。

 「君はこれを盗っちゃったってことかな?」
 「エ゛ェンッ!! ンン゛ッ!! 違います!!」
 「あ、やっと普通に喋ってくれた」
 「自販機に刺しっぱなしで危なかったから渡そうとしただけです!」

 喋れるって本当に素晴らしい。だけど警官は警戒体勢を解くことは無く、運転席に座っていた警察官がパトカーを出てジジイの家に行き、インターホンを鳴らす。するとすぐに家の電気がつき、ジジイが玄関のドアから出てきた。起きてたのかよ。こんなことならさっさとインターホン鳴らせばよかったわ。

 警察官とジジイがパトカーに寄ってきて、ドアを開けられる。そして僕の隣に座っていた警察官が「おとうさん,この鍵見覚えあるよね?」と鍵を見せる。するとジジイは「あっ! 俺のだ!! 良かった無くしてたんだよ!!」と間の抜けた声をあげ、警察官がすかさず「この子が持っていたんですよ」と補足する。いやその説明はどう考えても誤解を招くだろうと僕はすかさず「自販機に刺しっぱなしになってたんです」と付け足す。
 するとジジイは「え? あっ!! そういや俺自販機に刺しっぱなしだったわ!! アヒャヒャヒャ」と笑い始め、やっとのこと誤解はとけてパトカーから出ることが出来た。

 ジジイに何故かものすごく感謝され、「なんか好きなジュース一本やるわ!!」と言ってくれたので思わず僕は「じゃあ、このコーヒーで。そういや僕今日、誕生日なんですよ」と要らないことまで言ってしまった。

 「誕生日!? じゃあこの缶コーヒーは俺からの誕生日プレゼントだな!! アヒャヒャヒャ……」

 そういえば何故ポストが無かったのか、ということをジジイに聞いてみると、「盗まれた」とのことだった。「ポストって盗まれるんだ……」と僕は、暖かい缶コーヒーを静かに飲み干す。氷点下の夜の、不思議な誕生日だった。

2015/02/04

 はい、皆さんが静かになるまで三分もかかりました。先生これから大事な話をします。今日は僕の誕生日です。数えること今から24年前、僕がこの大地に爆誕し母親の腹を突き破って生まれ落ち「世界よ、俺だ」と天を指さしたことは皆様の記憶にもまだ新しいとは存じますが、そんな僕も無事に24歳になることが出来ました。ありがとうございます。ここまで24年間熟成されたクズは世界を探しても極稀だと思いますので、これからも順調に堕落していこうと思います。ブヒッ!

 んじゃ明日も仕事なんで寝ます。え? 誕生日プレゼント? じゃあアレちょうだい。練炭。

2015/02/01

 禁酒時代のソ連におけるアルコール中毒者は酒が無いからって接着剤を飲んでいたらしい。それぐらい人間の欲求って強いんだよな。だから私欲に抗うということは魂の昇華と言うにも足りないほどの試練が待ち構えているわけだ。今日の俺だって戦ったさ。タバコを吸いたいという欲求と。

 「でも給料日来たからお金はあるんじゃないの?」

 おっ。良い質問だな貴様。その通りだ、金はある。低所得には変わりないが、タバコを吸うぐらいの金は稼いでいる。しかし今日は日曜日だ。日曜日に金を下ろせば手数料という魔法がかかってしまうから、お金を少し無駄にしてしまうんだよ。それが例え百円程度であろうと、それを四回繰り返せばタバコ一箱分にも及ぶわけだ。だったら「休日ぐらいはタバコを我慢するか」という考えに至るだろ。だけどそれと同時に「休日だからこそタバコを吸ってゆっくりしたい」という欲求が沸き起こってくるわけだ。欲求と自制心の鍔迫り合い。このままではそれらがストレスへと変貌を遂げてしまい、もう二度と来ない今日という日を修羅のような形相で迎えることになってしまいかねない状況になったわけだ。そこで俺は考えたんだよ。代替案だ。タバコの代わりになるものを考えよう。

 とりあえずコピー用紙を筒状に丸めたものの中に枯れ葉を入れてみた。フィルターを通さないぶん不健康な代物ではあるけども、原理的には喫煙の代用にはなり得るのではないかと思ったわけだよ。とりあえず咥えて火を点けるわけじゃん。すると火が「ヒャッハァー!」って勢いですっげぇ燃え始めたの。あっという間に唇の近くまで火はやってきて、俺はすぐにペッと吐き捨ててコーラをぶっ掛けて鎮火した。とりあえず、くせぇ。焦げくせぇ。そして口の中がちょっと苦ぇ。鼻先も少し痛ぇ。たぶんちょっと焼けた。馬鹿みたいなことをするもんじゃねぇわ。ちょっとコンビニ行ってくる。え? 何買ってくるって? タバコに決まってんだろ。この流れでコピー用紙買ってきたら俺のIQは虫ぐらいだぞ。

2015/01/29

 とりあえず美少女キャラと作っておけば中小企業は潤うというジャンクフードに満ちたような世界でお前らの命はちゃんと燃えているか? 俺がもし美少女に生まれていたらって思うんだよな。仕事でミスしても「はわわ〜すみませんですぅ」って上目遣いすりゃ許してもらえるだもんよ。腐った大人たちに一発かましてやりてぇと思ったならわざわざバンド組んだりしなくても電車に乗って適当なオッサンの腕を掴んで「この人チカンです!」と言えばその人の人生終わるもの。こういうことを考える時点で俺の頭も終わってるもの。もうどうしようもないもの。

 そりゃ生きてりゃ疲れることもあるよな。わかるわかる。俺だって今週の日曜から200円で生活してきたもん。タバコとか半分吸って箱に仕舞って、後で吸ったりするの。味のついた液体なんて口に出来るわけもなく、家に残ってたインスタント麺だけで生き延びてやったわ。お湯沸かすポットも壊れたからそのまんま食うの。インスタント麺を茹でずに。もうボリボリと獣のように食って生きてやった。人間やりゃ出来るもんだわ。その代わり心がもう荒んで荒んで廃屋のよう。コンビニの前で中学生がタバコ吸ってる光景でも見てしまったらダイナミックエントリーして奪い取りそうな勢い。ハンバーグ食べたいよぅ。

 仕事中も水道水を飲むことが出来ないから尿意とかも我慢するのね。「限界まで俺は耐えて、出来るかぎり長く水分を体内に保存する」的な考え。だって汗も出して尿も出してって無駄じゃん。これ、汗は止めようが無いけど尿は止めることが出来るという貧乏人の知恵ね。そもそも人間って進化するところが間違ってんだよ。体温調節も老廃物を出すのも全部汗で済まそうや。人間の体って何箇所からも水分が出てくるじゃん。皮膚とか目とか口とかさ。無駄じゃん? 美味そうなものを見たらヨダレが出てくるし、感情高ぶりゃ涙が出るし、なんかアホみたいじゃん。この人間が地球に誕生してからの何十億年の間にどこが進化したっていうのさ。人と人が繋がる手段と離れる手段を知っただけの何十億年ではございませんか。人間はするべき進化をせず汗は流すし尿意は催すし、男の乳首だって何十億年もずっとあるとかおかしくねぇ? 乳首から金が出るように進化すればいいのに。乳首をなぞるとじわじわと五十円玉が浮き上がってきて、コロンって乳首から五十円玉が落ちてくるの。乳首をなぞればなぞるほどお金が貯まっていくという寸法だ。だからお金持ちは乳首が黒いし、貧乏人はサーモンピンク。誰か俺を止めてくれ。

2015/01/22

 死にたくないから病院に行った。数ヶ月前に入院したから、その後の経過観察ってやつだな。出来るだけ朝の早い時間に受付を済ませてさっさと会社に行こうと思っていたから、病院が開く数十分前には入り口に到着していたんだけど、なぜか既に爺さんと婆さんがドアの前で列を成してるのな。オープン待ち。


 


 もう俺、上のようなポーズで固まったまんま過呼吸起こしそうになったわ。

 朝9時だぞ朝の9時。夜の9時でもおかしいだろこの行列。目の前の老婆2人組が「今朝は冷えるねー」とか言い合ってる。冷えるぞ。1月は冷えるぞ。当たり前だろ。お前は過去に何十回の1月を過ごしてきたんだよ。
 冷える故におかしいんだよこの行列。まさか俺と同じ思惑で並んでるわけじゃねぇだろ? 言っちゃ失礼だが現役を引退されたような年代の方々ばっかりなんだから。会社に早く行かなくちゃいけないから早起きして病院に行く、という理由ではないはずだろ。

 そして病院が開く時間になって、自動ドアが開いた瞬間爺さん婆さんは受付に並ぼうとし始めるわけですわ。腰が90度曲がった老人が俺よりも早く動く様子は、見方を変えれば都市伝説に出来そうなぐらいの恐怖を感じたけど、負けずに受付へと向かう俺。そしてその直後、爺さんと婆さん達の思惑がようやく理解できる光景を目の当たりにした。

 奴らは早く診察を済ませたいんじゃない。早く病院に入りたかっただけだったんだ。見てごらん。受付を早々と終えた老人たちの、待合席に座り、談笑している老婆たちの姿を。これでもかってばかりにリラックスした体勢でテレビを凝視している老爺たちの姿を。
 つまりは病院という清潔感のある建物の中で、持て余した時間を人との交流やテレビなどで潰したかったに他ならなく、つまりはそれが彼ら彼女らの日常だったのだ。若者が朝起きてTwitter画面を開くのと同じ心理であろうことを俺は想像する。

 「なるほど。たまに診察が終わっても帰らない老人がいたけど、そういうことだったのか」

 俺は納得し、病院の受付の前に立つ。

 「あ、白石さん。保険証出して下さい」
 「え?」
 「今月最初の診断ですから、保険証が必要ですよ」





 

2015/01/21

 俺、死にたもうことなかれ。缶コーヒー飲んでて、缶が空になったからそれを灰皿にして使ってたんだけど、それをうっかり飲んでしまったわ。

 サラサラサーッて灰とか吸い殻が落ちてきてさ、もう俺の体の中はパニックよ。「あれ!? コーヒーちゃうんか!?」って舌から小腸までカタストロフィ。だけど俺の体はアホだから、少しばかりの灰を食道に受け入れてしまったわけよ。「お前コーヒーちゃうやん! まぁええわ! 通ってええで!」って。その瞬間吐いたわ。ロッテリアの絶品チーズバーガーがバブルスライムみたいになって出てきた。

 そんでトイレに直行して、ずっとゲボ吐いてた。口の中は酸っぱいし、体の中は相変わらずパニックだしもう大変。食道が「色々考えたけどやっぱお前通っちゃアカンわ!! 出てけアホンダラァ!!」って暴れてるの。アホはお前だ。最初から通すな。
 全身のカロリー蓄積数が負の数に達する勢いで吐き続けて、「あ、俺死ぬかもしれない」と思ったね。当たり前だよね。タバコってそのまま食ったら致死量らしいよ。ウルトラ怪獣の必殺技のごとく口からビームを出し続けていた俺はもう胃の中も空っぽになって気分が悪くなり、倒れこむようにソファに寝っ転がりましたわ。
 そしたら鳴るのな。腹の虫が、グゥって。食道と胃が「さっきはビックリしたな!! 出したらアカンもんも出したから腹ペコやわ!! なんか食わしてや!!」とか言ってるんですわ。殺すぞ。誰のせいでこうなったと思ってやがる。だけどその空腹感は俺自身の生存欲求に直結したものだから、食べなければ、俺が飢えて死んでしまう。俺はカップラーメンにお湯を入れた。このアホな体と、棺桶の中まで生きていく。俺、死にたもうことなかれ。

2015/01/19

 定期券という魔法のカードを持っている俺は会社と自宅を往復し放題という特権を持って生きているから「いつでも電車に飛び込んで死ねる!」という事を胸に日々を生きているんだけど、改札機がビコーンッてな。今朝、改札通ろうとしたら、ビコーンッてな。通れなかったわ。

 すると駅員が来るのよ。「どうしましたー?」って。それで俺は「通れなくって……」と定期券を手渡すも、なぜか駅員も困った顔を浮かべてるの。どうやら新人だったらしくって、定期券を受け取るやいなや僕と全く同じ行動を取ってビコーンッて。それも3回。それで僕も駅員も困った顔を浮かべて改札前で棒立ちですわ。そこで駅員が申し訳なさそうな顔で、

 「困りましたねぇ……フハハ」

 何言ってんだお前? いやフハハじゃねぇんだよ。お前がどうにも出来ない問題なら先輩とか上司とかに連絡して何とかしてくれや、という事を限りなく優しい口調で言うと、駅員は「そうか!」みたいな顔をして事務室みたいな所に走って行く。俺はもう、ぽつんと改札の横で立ち尽くすしかありませんわ。

 そしてすぐにさっきの新人が駆け寄って来ましたわ。二人も別の駅員を連れて。三人の駅員が僕を囲み、さっきの新人が僕を平手で指し「この人が改札で、あの、定期があったんですけど」と拙い説明を始める。他の駅員二人はイライラし始めて「定期券が通らなかったってことね?」と威圧的な言い方で新人に問うけど、なぜか新人は反射的に「いやっ」と返したまま、言葉に詰まってしまう。「いやっ」じゃねぇだろ。その通りだろ。やめろよ周りがすっげぇ俺のこと見てんじゃねぇかよ。今通りすぎた大学生らしき二人組がこっち見て「痴漢とか?」ってつぶやいてたの聞こえちまったじゃねぇかよ。

 たまらず僕が「いえ定期券が改札に通らなかっただけの話です」と口を挟み、駅員さん二人に定期券を渡すと驚きの一言が。

 「あ、これ期限切れてます。昨日までですよ」

 え? と思わず口にして、定期を受け取り裏返す。本当だ。昨日までになってる。今日19日か。18日だと完全に思い込んでたわ。完全に俺がアホだった。「あちらの窓口で更新できますので、本日更新されますか?」と駅員さん二人が優しく言ってきたため、「お願いします」と深々と頭を下げる俺。そして窓口の近くまで駅員三人と、申し訳無さそうな顔を浮かべた俺が歩いて行く。ハタから見れば完全に痴漢かキセルで捕まった人にしか見えないその状況に、俺は笑うしかなかった。もういっそ捕まえてくれ。社会でやっていける気がしねぇんだ。

2015/01/18

 電話ボックスの中でタバコを吸っているオッサンを見て、色々考えた。アイツは一体なにやってんだろうって。確かに今日は冷えるけど、その選択は色々間違ってるんじゃないかって。

 煙で白くなったボックス内はどこか幻想的な雰囲気が立ち込めており、煙の中に佇むオッサンは無精髭を生やしていてどこか疲れきった顔を浮かべていた。靴を見ると紐がもつれていて、裾も破れている。恐らく彼はホームレスで暖を取りながらも喫煙出来る場所を探した結果、電話ボックスという答えにたどり着いたのだろう。オッサンは煙の中へ、静かに消えていく。流石に煙くなってきたのかオッサンがしゃがみ込んだところで、僕は再び歩き始めた。あんなオッサンに構っている暇は無い。僕はゲオにDVDを返しにいかなければいけなかったのだ。



 数十分後、電話ボックスは真っ白になっていた。これもしかして新手の自殺なんじゃねぇかと思い始めたところでオッサンが電話ボックスの中から出てきた。さながらコールドスリープから目覚めたように煙が体を撫でて、空気中に消えていく。モクモクと電話ボックスの中から煙が立ち込めており、他の人から見れば完全に火事としか思えない状況だった。しかしオッサンは猫背で歩こうとするもゴホゴホと咳込み、またしゃがみ込んでしまう。弱々しい顔を電話ボックスに向けるや否や、また電話ボックスに入り体育座りをしたまま膝の中に顔を埋めてしまった。その光景を見て、なんというか、「がんばろう」って気持ちになった。

2015/01/17

 中学校の頃の話だ。今でもハッキリと覚えている。「ブラックジャックは善人か悪人か」という議題で善人派と悪人派に分かれ、討論を行うという内容の授業だった。道徳観と意見を主張するということを養うための授業だと今なら想像できるけど、当時衝撃を隠せなかったのは、悪人派が僕しかいなかったということだ。イコールという記号の如く机は向かう合う形で並べられ、廊下側に座る善人派には見慣れた顔ぶれが見える。窓際に座った僕に味方などいなかった。まさに四面楚歌。圧倒的なプレッシャーだった。

 「ブラックジャックは人を助けています」

 そう開口したのはクラスの優等生だった。女子らしさを生活や身なりで訴えかけるような女子で僕は彼女のことが嫌いだった。すぐ反論するために挙手をする。黒板の前に立つ先生が僕を指さし、立ち上がる。

 「助けるうえでブラックジャックは法外なお金を要求します」

 予め用意していた答えだった。法外という部分を強調すると、優等生の女子は少し顔を赤くして鼻の穴を広げて挙手をした。

 「それでも人の命を助けているんだから良いと思います」
 「いやいや、法外なお金を要求されて生き地獄を味わった患者もいるかもしれません」
 「じゃあ白石くんは人の命を助けるのが悪いことだって言いたいんですか?」
 「違います」

 優等生の女子の背中を押すように、他の女子たちの野次が飛んでくる。「アンタだって死にたくないでしょうに」「お金で命は代えられないじゃん」などと暴力団の恐喝にも聞こえるような言葉が飛び交う中、先生がぱんぱんと手を叩き、その音が教室に響き渡る。生徒全員が先生の方に顔を向けた。

 「はいはい、冷静に話しあいましょう。それじゃあ白石くんは命よりもお金が大事ということですか?」

 何言ってんだこのババア、と喉のあたりまで出かけ、「違います」とかぶとを振る。「死ぬということを受け入れるのも大切だと思うんです」
 本心だった。僕がブラックジャックを読んでいて違和感を感じたことはそれだったのだ。確かにストーリーの完成度、描写などにおいて最高峰であるということは認めざるをえない。しかし法外な金額を請求するということは、貧乏で病弱な子供との格差をより生んでしまうだけではないかと考えたのだ。
 「じゃあアンタが死ねよ!!」と絹を裂くような女子の声が響くが、僕は下腹部と足の指に力を入れて冷静さを保つ。なにもこれは勝つための議論ではない。ただの授業だと自分に言い聞かせた。直後、挙手をしたのは優等生の女子だった。

 「それって助かる可能性がある人も死んだほうがいいということですか」
 「違います」
 「じゃあどういうことですか。説明して下さい」

 感情的になりながら、優等生の女子はさらに言及してくる。もうおよそ野次ともいえない言葉の暴力が僕の胸を突き刺す中で、なるべく早口にならないように、深く息を吸い込んで発言をする。

 「ブラックジャックがしていることは貧富の差を広げるだけだと思います」
 「ヒンプの差?」

 オウム返しをする優等生の女子はどこか不快げな顔を浮かべていた。

 「金が本当に無い人間が『助かりたい』と思ったときにブラックジャックは助けてくれません」
 「だからなんですか」
 「作中に出てくるのは金が払える人か、手段を選ばないで払う人ばかりです。そうしないと話が成立しないでしょうし。だからブラックジャックが現実にいた場合、払える人間は助かり、どうしても払えない崖っぷちな人は助からないという差が広がってしまうと思うので、それは差別なんじゃないかと思います」

 後半になるにつれて少しずつ早口になってしまったことを反省しながら、伝わっただろうかと不安になる。優等生の女子はばつの悪そうな顔を浮かべて、天井を刺すような勢いで挙手をする。

 「それでもブラックジャックは得たお金を自然保護に使っています」伝わっていなかったようだ。
 「自然保護に使っていても医者として間違っています」

 ここで、はっとした。そうだ。この議論のテーマが「善人か悪人か」というのは、どっちにおいてのことなのだろうと思った。医者として善人なのか、人間として善人なのか。最初に確認すればよかった、と思うと同時に唇が乾燥する。喉が乾き、胸のあたりで不安がざわざわとうめき始めた。

 「彼は人間としては間違っていません。人の命を救ってるし自然を守っているからです」

 ほら、来た。話の軸を定めないと水掛け論になってしまうではないかと僕は絶望した。さすが優等生というべきか、自分の意見が支持される方法をよく知っている。しかし、僕は挙手する。

 「ブラックジャックというストーリーは医者であり人間でもある彼の話です。そして人間的にも間違っていると思います」
 「なんでですか。理由を言ってください。あと、屁理屈はやめてください」優等生の女子はかつて見たことが無いほど早口になっていた。
 「法を破っている以上は悪人だからです」
 「無免許のことですか」食い気味に優等生の女子は問い詰めてきて、僕は首肯する。
 「はい。法を破っている以上は悪人です」
 
 ここでスイッチが入ったように周りの女子たちに熱が帯びる。「漫画に出てきた医学会と同じこと言ってんじゃん!」「白石が悪人だろ!」「法律法律って頭の中が堅いんじゃないの!?」。確かに作中でブラックジャックが無免許であるがゆえに逮捕されるシーンがあった。が、あのときブラックジャックは抵抗もしなければ弁明もしない。その理由を考えると、彼は自分で正解ではないことをしていたことを自覚していたからだと当時の僕は思っていた。だからといって間違いを犯していたとも言い切れない。正しくもなく間違ってもいない、そういう覚束ない線の上で彼は生きているのだろうと思った。

 「いや、確かに」釣られて僕は声を荒げる。「確かに法律が全部正しいわけでないとは思いますが」
 そう口にした途端、女子たちがしんと静まり返った。先生が僕の顔を見て、「白石くん続けてください」と促す。

 「……確かに法律が全部正しいわけではないとは思いますけど、今回の話を話しあう上では必要なことだと思います」
 「どういうことですか」語尾を伸ばし、挑発しているような声を委員長の横に座る女子が口にする。
 「感情で話しあったってこの話し合いは終わりませんし、それにこういう良し悪しをハッキリと判断するために法律があるんですし、それに」急に静まり返った教室の雰囲気に気圧されそうになる。静寂が頭上から落ちてきて、僕を圧迫するようだった。教室内すべての視線が僕に向いていると思うと、急に怖くなってきて、声が震える。

 「それに?」女子の誰かの声が突き刺すように僕の耳に届く。
 「それに……」

 言葉に詰まってしまった。何を言おうとしたか忘れてしまったのだ。俯き、泣きそうになってしまう。そこで先生の手を叩く音が静寂を裂き、「はい、じゃあそろそろ結論を出しましょうか」と軽快に言い放つ。嘘だろ。ここから結論を出すの?

 「先生」優等生の女子が挙手する。そして、こう続けた。







 「このままじゃ埒があかないので、多数決を取りましょう
 「そうですね。いいですね多数決



 え?




 は? ちょっと待って。ここに来て多数決? じゃあここまでの議論は何だったの? 僕は戸惑い、潤った目頭が一気に乾くのを感じた。辺りを見渡すと、もう解決でもしたかのような空気になっており、さっきの殺伐さはどこに言ってしまったのかと思ってしまう。

 「はい! じゃあブラックジャックが善人だと思う人!」

 先生がそう言うと、女子がさながら軍隊のように調子を揃えて挙手をする。全く議論に参加していなかった男子も僕に申し訳なさげな顔を向けながら、調子を合わせるようにゆっくりと挙手した。

 「はい! 多数決で決定しました! ブラックジャックは善人です!

 嘘ォ。こんな形で終わるの? 僕はぽかんとして席を立つ向かい側の善人派の人間たちを見つめていた。口々に女子が「やっぱり善人だよねー」「白石って理屈っぽいね」などと笑顔を浮かべている。感情的になる余裕さえもなかった。そのまま生徒たちは机を元の位置に戻し、給食の準備を進める。

 「先生」と僕は先生に歩み寄った。「え、結局僕が間違っていたってことですか」
 聞かずにはいられなかった。あれだけ侃々諤々な議論を行ったにも関わらず、数の圧力で僕は説き伏せられてしまったというのか。

 「給食食べよう」

 先生はそう言った。なに言ってんだこのババア。答えになっていない。結局僕は多数決という数の圧力でねじ伏せられて、納得のいかないまま議論を終えてしまったのだ。中島くんの「今日の給食はフルーツポンチがあるんだぜ」という言葉が無ければ、僕はその日ずっと絶望していたことだろう。

 「マジで!? っしゃぁ! フルーツポンチ大盛りで頼むわ!!」

 その笑顔の裏側で、僕は、一人で戦うことの恐ろしさを噛み締めていたのであった。

 

2015/01/14

 雪国で車に乗ると、トラブルが絶えない。具体的に言えば、本来は二車線ある道路に雪が積もって道が狭くなって一車線になってしまったり、タイヤが雪に埋もれて身動きが取れなくなったりする。オーケー、僕は今日ダブルでそれを味わった。一車線になってしまった道路のど真ん中でタイヤが雪に埋もれた。出勤中な。すっげぇ焦ったよ。今このタイミングで車が来たらどうしようって。完全に僕はその道を通せんぼしているんだもの。

 そしてマーフィーの法則っていうの? 嫌な予感は当たるもんだね。来たわ。軽自動車。前方からこっちに向かってきて、動物の死骸でも見つけたかのような、嫌な顔をした女が運転席に座ってるのが見えるわ。赤いダイハツ・ムーブがじりじりと僕に歩み寄ってきてるよ。

 プップーってクラクションを鳴らされましたわ。うん、プップーじゃないんだよね。僕だって会社に向かう途中で時間がなかったし、猫の手も借りたい思いだったんだよ。だけどどうやら向こうも急いでいる様子だったから、僕は大きめな声で「すみません、タイヤが雪に埋もれてしまってるので別の道を行っていただけますか」と頭を下げたよ。
 すると運転席から女が降りてきてさ、「なに勝手なこと言ってんの!? 私だってこれから仕事があるんだけど!?」って言ったの。もうね、耳を疑ったよね。え、何? 僕、勝手な真似をしてしまったの? この女性から見れば僕は今、「わぁ! 雪がたくさん積もってるー! タイヤ埋めちゃお!」とでもふざけたように見えたの?

 「いえ、申し訳ないんですけど別の道を行ってくれませんか」

 できる限り僕は丁寧な口調で言いましたよ。すると女は「アンタの運転が下手だから埋もれたんでしょ!? 知らねぇよ!!」って言ってきたの。あのな、お前がどこの教習所で免許を取ったかしらねぇけど車ってのはマリオカートじゃねぇんだからジャンプで避けることって出来ないんだわ。攻撃力がどんどん上がっていくけれどもここは穏便に、下手に出ましたよ。

 「運転技術の問題ではなく、雪国ではよくあることではないですか」
 「私、もともと東京の人間だからそんなこと知らないから!!」
 「あぁ、じゃあ雪国の運転ってこういうことが稀にありますので」
 「なに知ったふうな口聞いてんの!?」

 知ったふうな口っていうか、いま僕はそれを体験してるからね?


 幸い時間に余裕を見て家を出たため、あと20分は余裕がある。だから20分以内に僕はこの状況を脱出して、駅に向かえば何事も無く一日を迎えることが出来るのだ。しかし、今抱えているトラブルは雪に埋もれたタイヤと、目の前の荒ぶった女性。相手も急いでいるのならば感情的になる気持ちはわかるけど、これは理解していただきたい。

 「来た道を戻れば大きな通りに出ますから、そちらから行ってもらえませんか。申し訳ないんですが」
 「アンタが道を避ければいいでしょ!?」
 「いえ、ですからそれが出来ないからこういう状況になってしまっているんですよ」
 「それはアンタのせいでしょ!?」
 「自然の問題ですから、誰のせいというわけではないんですよ」
 「自然のせいにするの!?」

 なぜこの人は急に自然を庇ったのか本当に意味がわからないけど、ここでご近所さんが「どうしたどうした」と登場。すると女性は僕を指さして「この男が道を開けないんです」と声を荒げる。俺は武蔵坊弁慶か、と思いながらも「タイヤが雪に埋もれまして」と追って説明するとご近所さんは「あらら、んじゃスコップ持ってくるから」と踵を返し、僕も一安心。
 そして僕はご近所さんの協力を経て、無事にタイヤを救出し、駅に向かうことが出来ましたとさ。去り際に女性が「シネバイイノニ」とか言ってたけど、なんだろう。東京の言葉かな。きっと僕の知っている言葉に訳すと「貴方に福音を」的な意味になるんだろうな。ありがとう。死ねばいいのに。

2015/01/13

 近所に学習塾が出来た。ランドセルを背負ったペド達が二足歩行で住宅街を歩いている。夕方になると、全身の細胞が希望で弾けるような眩しい笑顔を光らせて、ペド達が学習塾へと吸い込まれていく。数時間経てば、ペド達は学習塾から放出される。小汚いオッサンへの一途を辿っている僕は、その光景を直視することができない。

 そして昨今は挨拶を返すだけで不審者扱いされる物騒な世情じゃない? 目が合うだけで子供は逃げて、次の日には回覧板でお尋ね者にされちゃうんだもの。事案発生、とか言ってさ。ましてや僕みたいな顔面だけで人を殺せそうな容姿であれば尚のこと不利なわけで。こういう事を考えるともう子供じゃないんだなーって心が締め付けられますわ。タバコは吸うしお酒も飲む。いやらしいことも、知っている。どんどんなりたくない大人になっていっている自分を直視出来なくて、「あの子たちもいつかは汚い大人になるんだろうなぁ」と子供たちを見つめて思うのです。いいか、前途有望なペド達よ。土下座をするときは丁寧語、命乞いをするときは謙譲語だ。


 「ていねいごってなぁに?」

 少しだけ罪が軽くなる魔法さ。
 お兄さんなんか土下座してる時に頭を踏まれたことがあるんだ。

2015/01/11

 アナと雪の女王ってそんなに面白いの?
 僕は見てないからわからないんだけど、友人に聞いたら口を揃えて面白いって言うの。どういうストーリーなのか聞いてみると、友人がドヤ顔で「見ればわかる」とか言って腹立ったから、闇の彼方に葬り去ってやったわ。見ればわかるのは当たり前だろ。その見るまでの前情報を求めてんだよ。

 「気になるなら見ればいいじゃん」と思ったそこの君。正解。確かに見ればいい話だし、先ほど闇に葬り去った友人も同じような意図であのような言葉を口にしたのだろうけど、周りが「見てみなよ!」とゴリ押ししてきたら僕はすっげぇ見る気が失せるんですよ。まどマギの時もそうだった。周りが「まどマギ面白いから見てみ!!」とあまりにもゴリ押ししてきてウザかったから見る気を失ったし、全員を闇の彼方に葬り去ってやった。

 そしてなんとなくですが、キャラクターの顔が好きになれないですわ。デザインとかじゃなく、顔が。



 


 この顔ね。
 こういう「やんのかオラ」って言ってきそうな目つきは女性がするべき目つきではないと思うの。この顔を見て好感を抱く男の人っていないんじゃないかな。僕はディズニーもピクサーも大好きだし尊敬しているけど、このキャラクターの顔がどうにも受け入れることができない。


 


 この子に至ってはバイトの求人誌のような表情。先ほどの子よりはマシだけど、それでもどこか浮かない面持ちを感じる。タイトルを見る限り恐らくこの子がアナという少女で主人公なのだと思うけど、主人公だったらもっと素敵な表情をしてほしかったな。

 きっとストーリー的には面白いのだろうけど、どうにも一歩踏み出して見る気になれない。トイ・ストーリーとモンスターズインクは映画館で見るぐらい好きだったのに、アナと雪の女王だけはDVDをレンタルする気も起きないのです。


 だけどこのまま食わず嫌いもよくないと思い、Wikipediaを開いたんですわ。最低限のストーリーを抑えたうえで見たいから。そしたらね、Wikipediaに最初からラストまで全部書かれてた。なんでそういうことするんだろう? 余計見る気がなくなったじゃない。もうダメだ。絶対に見ないわこれ。一生レリゴーしないで僕は生きていく。おやすみ。

2015/01/06

 このサイトを見ている奴でロッテリアの店員いるか? 手を上げろ。お前か。ここ座れ。正座だ。いいか、一回しか言わないからよく聞け。シェーキに勝手にホイップクリームを入れるな。無料なのは知っている。だけど俺が無料ならば是非を問わずトッピングするような意地汚い男に見えたのか。オイ。千手観音に往復ビンタでもされないとわかんないか? おう、わかったならいいんだ。帰れ。

 ここからはロッテリアの店員以外に語りかけますけど、先月ぐらいからロッテリアでシェーキを頼むと無料でホイップクリームをトッピングしてくれるというサービスを始めたらしいんですよ。
 最初の頃は聞いてくれましたよ。「ホイップクリーム無料でお付け出来ますが、いかがですか?」って。僕は思いましたよ。「あぁ無料なんだ。先進国のこういうところ大好き」って。そして言いましたよ。「結構です」って。当たり前だろ。ストローでどうやってホイップクリームを吸うんだよ。飲みにくくなるだけだろ。

 そして今月はロッテリアに数回行ったんだけど、奴らもう容赦なくホイップクリーム入れてくるんだね。ホイップクリーム入れるかどうか聞いてこないの。必ず入れてくるの。「あ、ホイップクリーム要らないっす」ってレジで言ったら店員は一瞬塩を舐めたような顔をして振り返り、「すみません今のシェーキ、ホイップ抜きでお願いしまーす!」って言うんだわ。そしたらもう後ろでシェーキを容器に入れていた店員まで嫌な顔をして「はい、サンキュー」って言って入れなおすんだわ。完全にファッキューと言いたそうな顔。もうイヤだ。なんで俺がこんな思いをしなければいけないの。
 だってホイップクリームって溶けないからシェーキと混ぜることもできないんだよ。しかもストローって構造上、カップの底のほうから飲んでいくから、最終的に上にトッピングされたホイップクリームは余るんだよ。それで最後に残ったホイップクリームをストローで吸おうものならもう地獄さ。ズゾゾゾゾゾって馬鹿丸出しな音を出すことになってしまう。蚊のほうがもっと上手く吸えるんじゃねぇのってぐらい吸えない。なぜ大人になった僕がこんな辱めを受けなくちゃいけないんだろう。

 「だったら注文した時点で早めに断ればいいじゃん」と思ったお前。ロッテリアに行ったこと無い富裕層か? 奴ら音速の壁に挑戦してんのかってぐらい素早く動こうとするから、僕がメニューを指さして「ハンバーガーセットください。飲み物はシェーキのバ」と言った時点でホイップクリームは容器に入ってるからね。
 ならば何か? 俺は光の早さで注文すればいいのか。いいぜ。小学校時代、通信簿に「早口すぎて何を言っているのかわからないことがあります」と書かれて親が悲しんだ過去を持つ俺に光速で注文するなんて簡単な事。


 店員「いらっしゃいませ! ご注文は?」
 俺「あのバッ……シェー……じゃなくって……あの……ハンバーガーのシェッ……クリーム……」
 店員「はい?」
 俺「ハムッ……ハンバーガーのあの、セット……シェーキのバ」

 コシューッ(ホイップクリームが入る音)

2015/01/05

 江戸っ子か。いやここは北海道だ。じゃあ蝦夷っ子か。そんな事を考えながら僕は目の前の男を眺めていた。彼は寿司を食べている。素手で芋を頬張る猿のように間の抜けた顔で寿司を食べている。何も僕は寿司やそれを食べる人間の姿が物珍しくて見ていたわけではない。電車で男が寿司を食べているという珍妙な光景に目を奪われたのだ。
 冬の車窓の誘惑。景色が背後で流れていくのに目もくれず、彼は寿司を食べている。マグロに醤油を垂らして、口に放り込んでいる。食べている最中、バッグから何かを取り出した。口か手でも拭くのかと思いきや、男が取り出したるはポカリスエット。鯨飲の字の如く彼は頬と喉を膨らませ、凄まじい勢いでポカリスエットを飲んでいる。
 なぜ彼は電車で寿司を食べているのだろう。寿司が好きなのだとすれば、彼はちゃきちゃきの江戸っ子なのだろうか。そしてきっとせっかちなのだろう。江戸っ子だから。

 死ぬほど腹が減っていたのであろうことを考慮しても、疑問が拭えない。彼は店で寿司を購入した時点で、電車で寿司を食らうことを決めていたのだろうか。もしそうだとしたら彼の大脳辺縁系がクラッシュしているのではないかと思わざるを得ない。公共の場で食事をするなとは言わない。だが寿司はどう考えても場違いだ。別に迷惑だとは思わない。それでも電車で食うものでもないだろう。

 あっという間にポカリスエットを飲みきった彼は次にイカを掴んだ。醤油をつけて、食った。我が物顔とはまさにこの顔である。いや確かに彼の寿司ではあるのだけど、そうではなくここは公共の場。隣に座っているOLが寝たフリして彼を怪訝な目で見つめている。弓矢を引いたアシタカのような目をしている。アシタカと江戸っ子、そして僕。不思議な三角形を描きながら、鈍行列車は夜の街へと消えていった。

2015/01/03

 元来、自分が隙あらば横になるような怠け癖があることは重々承知の上だったけど、三日間も寝正月を決め込んだ事実には心底驚いた。昨日だけは厄祓いの為に外出したけど、それ以降一歩たりとも外に出ていない。と、いうことを誰かに言った日には「せっかくの正月なのに勿体無い」とか言うのだろう。じゃあ何か? 君たちは初詣に始まり福袋を求めて街を闊歩し、友達と酒を飲みに行ったりするのかい。そして夜は優雅に酒とディナーを嗜んで、聖書でも読んで寝るのかい。君がそういう正月を送りたいという意向は大いに結構。だけど絶対に俺をそのサイクルの中に巻き込むなよ。LINEで「飲みに行こうぜ!」とか送ってきた瞬間、竹槍を構えてお前の家に向かうぞ。
 天照大御神もかくやと思われる引きこもりっぷりを発揮した僕に恐れるものはもう何も無いと思っていたけれど、人の体はどうやら行動しないと弱体化する傾向にあるようで、今はコンビニに歩いて向かうだけで腰が痛くなってしまう。何もしていないときってRPGとかだったら体力が回復する一方じゃないんか。人間の体は常に動いて鍛えなければならないSAGAを背負っているとでも言うのだろうか。年末年始にひきこもっていただけで足の関節と腰が悲鳴をあげて、レッサーデーモンみたいな姿勢で部屋を這わないといけないレベルになってしまった。正月休みも明日で終わり。明後日から泣く子も黙る社畜ライフが始まる。果たして僕はどうなってしまうのだろうか。死んでしまうんだろうか。


<死んでしまうんだろうか。

2015/01/02

 実は人生で福袋というものを買ったことが一度も無いんですよ。厄祓いに行ってきた帰りにそのことに気づいて「お祓いもして貰ったし運試ししてみるか!」と福袋を買ってみることにしたのです。
 というわけでアニメや漫画など数々のサブカルチャーに身を染めたお前らのためにヴィレッジヴァンガードで福袋を買ってきたよー!




 袋はこんな感じ。スペースチャンネル5を彷彿とさせるキャラクターとお菓子などの小物が飛び交っていたり。うーんサブカルチャーって感じ。デザインが派手なのは別に構わないんですけど結構デカいんですよコレ。縦横それぞれ30cmぐらいあります。正直持ち歩くのが恥ずかしかったです。値段は5400円でした。高いわ。

 それでは早速開封してみましょうか。オープン!







びっくりした。なんだこれ?何かのキャラクターの顔?

どうやらミシュランマンの顔のシールみたいで、それ以上でもそれ以下でも無いようです。何故か三角形に配置されたミシュランフェイスは不気味そのもので何に貼ればいいのか検討もつきません。とりあえず一枚はマックブックに。残りは友達の家へ遊びにいったときにでもこっそり壁に貼り付けてやろうと思います。



イヤホン。
うわー。完全にこれ在庫処分の臭いがプンプンしますわ。これアレだ。GEOとかTSUTAYAとかでレジの近くで売ってるような奴だ。しかもピンク色とか僕みたいな呪いで生まれたような男には使えない色です。



 またイヤホン。
 需要なんて言葉はハナから知らねえみたいなスタンスですね。同じ福袋にイヤホンを二つも入れたヴィレッジヴァンガードは確実に死んで欲しいところではあります。なんだこの初号機みたいな色合い。
 しかも「3COLORS INPACT」って。性能とかどうでもいいから色を見ろってか。売り方が暴走してるわ。本当に初号機のようなイヤホンです。



 イヤホンのコードを巻き取るもの。
 ここまでのイヤホン連鎖を払拭しようという計らいなのかもしれませんがこんなもん入れるならイヤホンジャックの1つでも入れてくれたほうが僕の心は穏やかでした。



 俺は100円ショップにでも行ってしまったのだろうかと錯覚してしまうほどチープなメガネがここで登場。
 よくある鼻眼鏡ほどのインパクトは無く、ただまつ毛がメガネに生えているだけ。恐らくコイツの檜舞台は3回生まれ変わって一度あるか無いか。





 シロクマのスマホスタンド。
 どうやらスピーカーにもなることが売りのようですが説明書が付属されていないため使い方がわからないという代物。なんとなくゴム臭く1時間弄っていても使い方がわからず、異様に軽いです。底面にMade in Chinaと書かれているような気がしたけど僕は何も見ていません。


 

 またしてもスピーカー。だけどこっちはもっと多機能な様子。
 スマホを遠隔で操作できる機能があるようで、マイク端子もついているため通話もこのスピーカーで出来るらしいです。だけどスマホを遠隔操作する必要って無いですよね。恐らくこの機械は「なんで私は生まれてきたんだろう」とミュウツーみたいな葛藤に苛まれて福袋に詰め込まれたのでしょう。





 以上です。
 負のオーラが凄まじいものばかりでネタにする分はいいけど実用性など過去に捨ててきたような福袋でした。やっぱり福袋は中身を見る楽しみを買うようなもので欲しいものを買うなら普通に買ったほうがいいですね。
 皆様もこれから福袋を買われるなら楽しんで開封してみてください。僕はたぶん、これからの人生二度と買いません。

2014/12/31

 呪詛のような言葉を投げかけられる事も非常に多かったですし、体調を崩して入院して人生初めての全身麻酔を経験したりと思いの外ハードな一年だったなという印象です。仕事と卒業制作。何かを諦めていく事が多く、僕の心の中で燃えていた何かが火種を失って少しずつ冷たく消えていくのを感じる一年間でした。

 僕は有志の方々とテキストサイトをまた流行らせようという試みを行い、現在そのサイトは200を超えており風向きは良い方向に向かっています。が、ネットの活動というのは難しいもので僕一人では日常生活の忙しさもあって手に負えないことが多かったことも事実であり、今年の11月まではそのグループから離れておりました。活動を再開したとき、温かい空気で迎え入れてくれた仲間たちに心から感謝したく存じます。ありがとうございます。頑張ります。なるべく。
 正直現時点でも僕に対して嫌悪感を抱いている方は多くいらっしゃるとは思いますが、僕はそういうのあまり気にしないでやりたい事をやる人間なので僕のことなど忘れて、ご自身のやりたいことに一意専心していただければと思います。本当に身勝手ですみません。

 僕の行動に賛否が別れることが多く、例えば今年に行った炎上商法。コスプレイヤーの方々の行動に生産性はあるのか? という題に添って「ここをこう言えば他の誰かが突っ込んできたりするだろうなぁ」とニヤニヤしながら楽しんでいると思いの外多くの人が集まってリアルの友人にアカウントがバレたりしたなどということがあったのですが、正直アレは人としてどうかと思いますよ。僕が。それをあえてやるって事も、ネットの面白さとしてアリかと思ってやっただけなので。実際、前々からコスプレという行動の生産性については疑問を頂いていたから、答えを知ったいい機会ではあるんですけどね。
 
 っていうか批判や暴言ぐらいでガタガタ言うとか小学校の帰りの会かよって感じなんですよ。いちいちそんなものに腹を立ててしまうなんて猿から全然進化していないんじゃないかしらと思ってしまいます。別にそう思う人がいるんだーぐらいで捉えればいいのに、それが出来ないっていうのはクールじゃないなぁって思います。

 ネット上ってのは腐海みたいなもので、毒素に満ちあふれているけどそれが無ければ生きていけない悲しい世界だと僕は思っているんですよ。だからいかに呪詛みたいな言葉に対してクールに返せるかが鍵になっていると思うんです。
 ネットをやっていれば心が腐るに決まってるんですよ。これだけ欲を満たせて、リアル以上に醜い世界なら心が腐るに決まっているんです。だからいかに自分の心とその世界にラインを引いて利用するかってのが本当に大切だと思うんですよね。

 僕がサイトを運営する上で「お前のサイトはつまらない」とか「閉鎖しろ」とか、色々な事を言われました。とくに炎上が終わった辺り。今でもメールの受信ボックスに脅迫めいた文章が送られてきたり、グロ画像のフルコースが送られてきたりします。が、正直なんのダメージにもなってないのでやるならもっと頭を使ってくれないと僕の心は弱りません。ただ「お前の文章は○○が良くない」だとか具体的に指摘してくれるアンチの方には本当に感謝しています。客観的にそういう部分を指摘してくれる人ってのはあまりいないのですごく貴重な意見です。少しずつ直して、自分のサイトが良くなっていけばいいなぁと思っております。

 というわけで、アンチの方々はこれから頑張って僕を追い詰めて下さい。皆様は大事なお客様ですので歓迎します。へへへ。

 あと当サイトを見てくれているファンの方々は本当にありがとうございます。勝手に名前を出して申し訳ないですけど、ねぎ姉さんの作者様やネットで名を馳せた方々が当サイトを好評いただきましてとても自信がつきました。
 たまに応援のメールを送ってくれる方々も、本当にありがとうございます。何の取り柄もない僕ですけど、これからも頑張ってサイトを更新していこうと思います。

 サイトを運営するうえで、「これって面白いのか?」とか「批判されないかな」と不安になってしまう方がいたりするかもしれませんが、正直逮捕されなければ何やったっていいんですよ。それぐらいのことをやったほうが面白いに決まってるんですよ。もっと自分を曝け出して、やりたいことをやればいい。やりたいことをやって批判されるのと、やりたくないことをやって相手にされないのであれば、絶対に前者のほうがいいに決まっているではありませんか。僕らは誰も見ない僻地の壁画に書き記しているわけでもなく、インターネットという人が多く集まる場所に自分をさらけ出しているんですから。臆病にならず、「これが俺だ」と自信を持てばいいんです。それが間違っていても正しくても構いません。批判的な言葉やアンチが送る呪詛みたいな言葉なんて所詮はただの言葉なんですから。

 さて、話が変な方向に行きましたな。とにかく今年を総括すると良くも悪くも濃ゆい年でした。来年はどんな年になるかはわかりませんが、多くの人に程よい刺激があって、小さじ一杯程度の不幸が味わえるちょうどいい一年になりますことを心より祈っております。

 それでは皆様、良いお年を。
 

2014/12/29

 今年の冬は寒すぎる、氷河期がまた来るぞーって毎年アメリカの学者とかが騒いでますけど冬なんだから寒いのは当たり前と思いません? そんで夏になったら今度は暑すぎるぞーと言うわけですよ。もうお前ら地球に住むなって感じ。

 そもそもそういう胡散臭い事を言う学者って大抵「ジョン」って名前な気がするんですよ。さっきニュースサイトで見た「氷河期来るよ!」と言っていたという学者もジョンって名前でしたし、少し前に「世界が滅亡する」って言ってたイギリスの学者の名前もジョンだった気がしますし。もうちょっとしっかりしようぜジョン。擬音みたいな名前しやがって。
 それに比べてアルベルト・アインシュタインってすっげぇ説得力ある名前だよね。「質量と運動量で時空が歪むよ」ってアインシュタインが言ったら「マジで!?」ってなるけど、ジョンが言ったら「歪んでるのはお前の脳ミソだ」ってスニッカーズを食いながら笑われそう。もうむしろジョンかわいそう。頑張れジョン。来年は良い年になるよ。だから世界は滅びるなんて悲しいこと言うなよ。お前の帰りを待つ家族だっているんだから……。

2014/12/25

 サンタさんから風邪をもらったのでぶん殴ってきます。
 確実に仕留める。